このみ薬局
まだ青いのですが・・・

我が家の庭には様々な生薬が植えてあります。
その中の一つ、大棗をご紹介します。
大棗と言うと馴染みがないかもしれませんが、和名で「夏目」ナツメです。
ナツメはご存知の方も多いのではないでしょうか?
この大棗の木はだいたい10メートルくらいです、少しとげがあります。5月の辺りに可愛い黄色みがある花を咲かせ、そして今の時期、この青い実がなるのです。青い実が熟していくと、写真にも写っているような深い赤色の実へとすすんでいくのです。この赤く熟したものを、大棗といい、この実を乾燥させたものを煎じたり、漢方薬の生薬の一つとして服用されていくのです。大棗の入った薬方の数は非常に沢山あります。
柴胡加竜骨牡蛎湯、甘麦大棗湯、柴胡桂枝湯、小柴胡湯、大柴胡湯、半夏瀉心湯、防已黄耆湯などなど上げればきりがないですが、非常に頻度の高い生薬の一つであります。実用処方の約30%にこの大棗が使用されています。
頻度が高いと言えば、この大棗は昔から人々の中でも汎用されていたのではないかと思います。
中国やヨーロッパではデザートなど昔から食されていたり、日本では、万葉集にもナツメの句が載せられているほどです。
大棗の効能:強壮、緩和、利尿
急迫を治する緩和があり、急な激しい咳嗽、腹痛、痙攣、心悸亢進などを改善するとともに強壮効果があるとされています。
漢方薬はこのような生薬を2味以上配合し、成り立っていますが、一つ一つ生薬をみていくのも面白いですね。
漢方薬の教科書、「傷寒論」より、大棗が含まれる薬方、小柴胡湯の一節を取り出してみましょう。
「傷寒五六日、往来寒熱、胸脇苦満、黙々として飲食を欲せず、心煩、喜嘔、或は渇し、或は、腹中痛み、或は、脇下ヒ硬し、或は、渇せず身に微熱あり、或は、咳する者は、小柴胡湯之を主る。」
これは、原文を書きくだしたものですが、読んでいくと大棗の役割が感じ取れます。
このように、漢方薬の教科書、傷寒論、金匱要略をもとに、私たちの生活の中には漢方が広がっています。
さあ。勉強の日々です!
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